答えをくれる人ではなく、自分の答えに戻してくれる人

「迷ったときに、自分の軸へ引き戻してくれる存在」はいますか。

私には、
そんなふうに思える方がいます。

その方は、私が迷っているときに、
人生の答えを教えてくれる人ではありません。

「こうしたほうがいいよ」と、
私の代わりに
決めてくれるわけでもありません。

それなのに、お会いするだけで
不思議とホッとする。
ときには、理由もなく
涙が出そうになることさえあります。

きっとその方が、
私の表面的な言葉だけではなく、
その奥にある思いまで
大切に扱ってくださるからなのでしょう。

迷いのなかにいるとき、
人はつい外側に答えを探してしまいます。

誰かに「それでいい」と言ってほしい。
どちらを選べば失敗しないのか、教えてほしい。
今の自分を肯定してほしい。

そんなふうに、
正解を持っていそうな人を
探したくなることがあります。

けれど本当は、
自分の人生を生きるための答えは、
誰かから与えてもらうものでは
ないのかもしれません。

目次

自分の人生に戻るための「問い」

以前、その方と
お話ししていたときのことです。

何気ない会話のなかで、
ふとこんな言葉を
かけていただきました。

「親は関係ないよね」

その一言を聞いた瞬間、
私はハッとしました。

「あぁ、そうか」と。

それまでの私は、
自分が何かを選ぶとき、
どこかで親の価値観や期待を
基準にしていたのかもしれません。

親を大切に思うこと。
親の気持ちを考えること。
それ自体は、とても大切なことです。

でも、親の期待に応えることと、
自分の人生を自分で選ぶことは、
同じではありません。

「親は関係ないよね」という言葉は、
親を否定するためのものではありませんでした。

私が私の人生に戻るための、
静かで、でも力強い問いだったのです。

本当は私は、何を望んでいるのだろう。
本当は私は、何を大切にしたいのだろう。
周りが安心する選択ではなく、
私の心が納得する選択は何だろう。

その問いを受け取ったとき、
私は少しずつ、
自分の内側へ戻ることができました。

「あなたはどうしたい?」と問える関係

相互尊重コミュニケーション®︎では、
自分も相手も、
どちらも大切にすることを
大事にしています。

相手の期待にすべて合わせることが、
尊重ではありません。

反対に、
自分の思いだけを押し通すことも、
尊重ではありません。

大切なのは、
自分の本音に気づき、
それを自分自身が受け止めること。

そして相手の思いにも、
耳を傾けることです。

私たちは、ときに
「どうすればいいですか?」と
誰かに尋ねます。

その言葉の奥には、不安があります。
失敗したくない気持ちがあります。
誰かに背中を押してほしいという願いがあります。

そんなときに必要なのは、
答えを与えてくれる人だけでは
ないのだと思います。

むしろ人生において
大きな支えになるのは、
こんなふうに関わってくれる人かもしれません。

あなたは、本当はどうしたい?
あなたが大切にしたいことは、何?

すぐに答えが出なくてもいい。
迷ってもいい。
立ち止まってもいい。

その余白をくれる人がいることで、
人は自分の力で、
自分の答えを見つけられるようになります。

答えは、すべて自分のなかにある

私が尊敬するその方は、
誰かの期待を生きるのではなく、
ご自身の人生を、
ご自身の意思で生きている方です。

だからこそ、
その方とお話ししていると、
言葉以上のものを受け取るのだと思います。

「自分の人生を、自分で選んでいい」
「あなたの答えは、あなたのなかにある」

そんなメッセージを、
存在そのもので
伝えてくださっているように感じるのです。

迷ったとき、
誰かに答えを求めることは
悪いことではありません。

人に頼ることも、
弱さではありません。

ただ、最後に
自分の人生を選ぶのは
自分です。

だからこそ私はこれからも、
誰かの答えを渡す人ではなく、
その人が自分の答えに戻れるような
問いを届けられる人でありたいと思います。

「あなたはどうしたい?」

その問いのなかから、
自分だけの答えを見つけていける。

そんな旅を、
ともに歩めたらうれしいです。  

  

一般社団法人相互尊重コミュニケーション協会
代表理事 
渡辺 佳菜

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